「著作権の保護期間延長立法と表現の自由に関する一考察」
横山久芳,2004,『学習院大学法学会雑誌』39巻2号.
謎工さんが勧めていたので図書館でコピーしてきた。
内容としては、アメリカのソニー・ボノ著作権延長法の違憲性について争われた、ミッキーマウス訴訟をもとにして、著作権の保護期間延長が表現の自由に与える影響について述べたもの。
ミッキー・マウス訴訟では主に以下の二つの点について争われている。
第一の争点は、CTEAが著作権の保護期間を延長するに当たって、既存著作物に対する遡及適用を認めたことは、著作権条項が議会に対して「一定の期間」に限って著作権保護を付与する権限を認めた趣旨に反するというものである。
第二の争点は、CTEAの保護期間があまりに長期であるため、そのような長期間の著作権保護を認めることは国民の著作物の利用行為を著しく妨げることとなり、表現の自由を保障する憲法の第一修正条項に反するというものである。
この論文では、この二つの点の内、後者の論点を中心に検討している。Breyer判事の反対意見が訳されていたり、参考になる点が多い。
結局、この論文で言われているのは、著作権の期間延長立法というのは表現の自由規制立法と同様の意味を持つので、これに関して、厳格な司法審査を行うべきであるということであろう。
同時に、著作権を延長することが本当に新しい作品を生みだすための活力につながっているのかという疑問を呈して、終えている。
著作権延長、翻案、表現の自由というあたりについて多くの資料が取り上げられており、参考文献として結構使えるのではないかというのが感想。
あげられている論文に読んでないものが多すぎなので、また図書館に行かないとな……。
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