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2004.11.04

大学の誕生と変貌

横尾壮英著「大学の誕生と変貌―ヨーロッパ大学史断章」東信堂

ヨーロッパの大学がいかにして生まれ、いかにして現在のような大学へと変貌するに至ったのかを追った本。このようなことについて知りたい人は是非読むべきだとは思うが、研究中のことも多いらしく、不完全な点も多い。
これ一冊で満足することは残念ながら出来ないと思われる。

大学は図書館に付随する形で誕生したと考えていた私にとっては、かなり衝撃的な内容だった。

大学団は知的集団ではあっても、特定の土地や建物や財産に制約された、身動きのとれない存在ではなかった。彼らは、一五世紀頃までは固有の図書館や教室や会議室を持たないまま、必要に応じてそれらを借用していた。(p16)

知識人たちのギルドであり、人間中心の集団だったわけだ。だから、伝家の宝刀として「講義停止(cessatio)」というものも持っていた。
大学ギルドがその主張を貫きえない場合に行使した最後の手段は、その都市を捨てて他の都市へ映る、という大学移動の宣言であった。それは威嚇にとどまることもあれば断行されたこともある。時に失敗した例もなくはないが、打率は高かった。(p13)

当初は都市から受ける特典もなく、生徒たちの授業料だけで運営されていたこのギルドも、都市による特典を受けることによって変貌が始まっていく。大学に固有の建物ができていくのもこれ以降の話であり、そして、固有の建物と特典により、大学の硬直化がはじまることになる。


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インターネット時代の大学についてのエッセイを書くためにこの本を読んだわけだが、自分の前提知識との違いから、元の構想では書けそうにないということに愕然としていたりする。さて、どうしたものか……。

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