輸入権に関する答弁
この問題に関しては、blogで見かけた質問が多く議員によってもなされたようで、答える方も大変だったに違いない。こういう形で政治プロセスに関われるようになるのは面白いことなのかもしれない。
……これで結局何の役にも立たなかったということになったら、失望感は大きいかもしれないけれど。
輸入権の答弁で気になったのは、下記のものだろうか。
質問主意書:(民主党エンタメ議連より)
一、 本法案の案文にある「国内において頒布することを目的とする商業用レコードを自ら発行し、又他の者に発行させている著作権者又は著作隣接権者が」なる文言は「自ら『国内で』発行し、又は他の者に『国内で』発行させている者が」という法文と解釈するべきはずである。「国内で」なる限定が付されているのが立法趣旨であることを確認したい。
二、一に続く部分である「当該国内頒布目的商業用レコードと同一の商業用レコードであって、専ら国外において頒布することを目的とするものを国外において自ら発行し、又は他の者に発行させている場合において、情を知って・・・・」なる文言は、「専ら国外において頒布することを目的とするもの『で最初に国内で発行されたもの』を『国内発行後に』国外において自ら発行し、又は他の者に発行させている場合において、」という法文と解釈するべきはずである。このような限定が付されているのが立法趣旨であることを確認したい。前記一、及び二の限定が付されていない限り、本法案は、広く洋楽レコード等の規制を可能にするために本来の立法趣旨より広い規制対象を設定していると考えざるを得ない。
答弁書:(謎工氏のblogより)
一について
今国会に提出している著作権法の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)第百十三条第五項にいう国内において頒布することを目的とする商業用レコード(以下「国内頒布目的商業用レコード」という。)を「自ら発行し、又は他の者に発行させている」とは、「国内において、自ら発行し、又は他の者に発行させている」という趣旨である。
二について
法案第百十三条第五項は、国内頒布目的商業用レコードを自ら発行し、又は他の者に発行させている著作権者又は著作隣接検権者が、当該国内頒布目的商業用レコードであって、専ら国外において頒布することを目的とするもの(以下「国外頒布目的商業用レコード」という。)を国外において自ら発行し、又は他の者に発行させている場合をその対象としている。したがって、国外頒布目的商業用レコードが発行された際に、国内頒布目的商業用レコードが国内において発行されていることが前提とされる。
二の方が気になる。
答弁書に寄れば、国外頒布目的のCDよりも、国内頒布目的のCDが先に発行されている必要があると書いてある。けれど、条文上は、そんな限定が課されているようには見えない。
国会の答弁には法的拘束力があるわけじゃないだろう。まあ、裁判において多少は考慮されるだろうが、絶対のものじゃない。
だから、このことは法文に明記されている方が望ましいことになる。
できる限り法文に余裕を持たせて解釈で定めた方が、と考えるのはわからなくもないけれど、それによってユーザーの権利が制限されていくのだとしたら、それはあまり認めたくはない。どう考えても輸入権というのは、特殊限定的な権利だから、むしろ狭すぎるくらいに法が定められているべきだろう。
第一、侵害が起きているのは今じゃない。狭く法を作っておいて、それをくぐり抜けるような侵害が起きた時に、それに対照するような形で法を改正すればいいだけだ。
日本において、法律は簡単には変えられない。一度できた権利はなかなか放棄されない。
だからこそ、法の策定には慎重にならなくてはいけないはずなんだが……。
参考:インターネットの法と慣習「法律の重みについてII」
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