「既に出版された学術論文を、著作者自らが、インターネットにアップロードし、無償で公表することに関する、著作権法上の議論」という論文を見かけたので、ちょっと。
実際に雑誌の記事を書いてみると、結構契約関係は適当。ていうか私は今まで契約書交わした覚えがない。
メールもしくは会って話をして、じゃこんな感じでとメールで送って、それで修正とかやって、原稿料の支払い(これは知り合いになったからなのかも知れないが。ていうか本来は私が要求することなのか? でも著作権は譲渡契約を結ばない以上私のものなわけで、出版者側の方が契約を結ばないと不利になるはず・・・報酬さえもらってしまえば、こっちは自由にできちゃうわけで)。
事前に報酬の話すらしないこともある(まあこれは私が書かせて貰えるだけ嬉しいと報酬を気にしていないためだが)。
で、この出版権と、インターネットの公開についてはある法学部の先生について話を聞いたことがある。
その先生が書いた論文を素晴らしい、と思って是非ともネットで公開したいと言ってきた人がいたのだそうだ。で、先生はその雑誌に載せる許可程度のことしかしていないし、公衆送信権を含む著作権について自分で保持していた。そのため、著作権法上はOKだと思ったらしい。ただ、一応ということでその人に対して、「出版社の人に連絡入れてみて」といった。
そして、その人が出版社に対して連絡を入れてみたところ・・・「確かに法的には大丈夫なんですが、やめていただきたい」というような話になって、結局ごちゃごちゃしてきたのでその人は公開をあきらめたのだとか。
学術系の雑誌では多かれ少なかれ似たような状況なんじゃないだろうか。
あと、一つありそうなこととして、ネットでの公開は可能だけど、それをやると次以降原稿を書かせてもらえなくなるんじゃないかな?
信義則じゃなくてこっちが主な原因のような気がしている。
で、こういうことから考えると、有名な人で出版社が是非とも原稿を書いて貰いたいと熱望しているような人であれば、結構簡単に公開可能なんじゃないかということも思うわけだ。礼儀として次の号が出るくらいまでは公開を待つようにすれば。(あ、でも有名な人ほどきちんと契約を結ぶということもあり得るか?)
電子出版権についてはどうだろう。
確かに著作権法上そんな名前の権利はないが、「公衆送信権の譲渡契約」として構成すればOKなんじゃないだろうか。まあ、契約書に電子出版権と書いて、それイコール公衆送信権の譲渡と解釈できるかどうかはしらんが。
とりあえず公衆送信権について独占的な利用権を得れば、ネットでの公開をその出版社等が独占できるし。リアルでの複製・出版は止められないが・・・それも止めたければ複製権なり出版権なりを取得せざるを得ないな。
とつらつらと考えてみる。
日本の出版界では、信用と評判でものが動いているんじゃないかという気がしてならない。まあそういうこと。
別にそれが悪いことではないと思う。問題さえ起きなければ(苦笑) で、問題が起きそうな状況にあるのが現在なんだろうな・・・。そのうち原稿を頼まれる時には添付ファイルで電子契約書がついてくる時代になるのだろう。
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