フィルタリングとDomestic Censorship(仮)
最近、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の成立などで、インターネット環境の規制が大きな問題になっている。
特に青少年に対して、違法・有害な情報を届けないようにするために、どういう施策をとるのかということが中心になっている。対策としてあげられているのは、フィルタリング、ブロッキング、教育によるリテラシー向上等で、多くの方はフィルタリングにそれなりに期待しているようだ。
私はフィルタリングを否定するものではないし、強制的ではなく(親が選んで)、あまり情報を規制し過ぎない範囲で行うのは、別にかまわないのではないかと思っている。強制的に、しかも国が決める、というのはどうかと思うけれども。
しかし最近、ちょっとフィルタリングについて考えさせられる話が身近に発生していたので、紹介しておきたい。
私には既に社会に出て5年以上たつ弟がいるのだが、この間久しぶりにあったら、自分のPCで今まで楽しんでいたYouTube等の閲覧が突然できなくなったという。
なんと、いつの間にか同棲中の彼女に勝手にフィルタリングソフトをインストールされていたのだそうだ。
彼女曰く、ポルノサイトとかを見るのは駄目、ということ。
ただ、彼女ももともとPCに詳しいわけではない。多分設定を間違っているのだろう、結果として関係ない動画とかもまとめて規制されてしまっていたわけだ。
で、その後どうしたの、と弟に聞いてみたのだが、未だに見られないままで、解除してくれないそうな。
解除する=ポルノサイトとかを見る=気持ち悪い、につながるらしく、解除に同意してくれないらしい。あとは多分設定を変更しようにも、お仕着せの設定(○歳向けとか)しかわからず、カテゴリとか詳細で設定するなんてことができないんじゃないかな。
「俺のPCなのに」という嘆きに、気の毒にと思いながらも爆笑してしまった。弟よ、お前、とうとうPCまで管理されることになったのか、と。
でも、よく考えてみたらこれって結構怖い話だと思うわけだ。
彼女にPCまで管理されることになるってことは、自分のプライベートがかなり管理されることになりかねない。別にやましいことが無くても、ログとか閲覧されるのはなんか気持ち悪いということもあると思う。それにさらに彼女がIT関連に詳しい人であれば、黙って家庭のルータのところでログを監視しているとか、そういうこともありうるのだろう。
もちろん、大人同士なんだからちゃんと話し合って解決しろよということもあるだろうけど……そもそも突然断りもせずに入れるということ自体がどうかと思うし。
実際にこういう子もいるということは、なんか、このまま青少年向けの有害情報対策でリテラシー教育等を行い、奥様方にフィルタリングソフトの使い方を教えると、まず真っ先に夫のPCに導入するなんて時代が来ることも起こりうるのかなと思ったわけだ。逆もまたあり得るのかな。
こういうのを仮に、「Domestic Censorship」(家庭内監視社会)とでも呼んでみようと思うが、あまりこういう時代にはなって欲しくないなぁと思う。
実際にどの程度こういう事例が発生しているのか、今後発生しようとしているのかは知りたいところだ。
実は既に妻(夫)に規制されているよ、とか、逆に妻(夫)のPCを規制しているよとか、規制したいと思っているよとか、という方がいたら、是非ご意見を伺いたい。
フィルタリングソフトというのは実に使い方とかを選ぶツールだなと改めて思ったエピソードだった。
なお、このエピソードを持って、フィルタリングソフトに反対だというつもりは今のところない。多分に使い方の問題だと思うので。
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